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帯状疱疹とそのワクチンについて

帯状疱疹とは

・身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気です。この症状に由来して、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病名がつけられました。
・帯状疱疹は、身体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
・水痘(水ぼうそう)にかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
・他のヒトから感染して帯状疱疹になるわけではありません。

帯状疱疹の経過

0)赤い斑点の現れる数日~1週間ほど前から皮膚の違和感やピリピリ感などの神経痛を伴うことがあります。

1)その後、強い痛みを伴い、身体の片側の神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点が現れます。軽度の発熱やリンパ節の腫れなどが見られることもあります。

2)赤い斑点上に水ぶくれがあらわれます。

3)水ぶくれは破れてただれた状態となり、かさぶたへと変わり、治癒します。ここまでおよそ1か月くらいかかります。

4)皮膚症状が治った後も、後遺症として帯状疱疹後神経痛が残ることがあります。

発症のきっかけ

 

疲れ

 

ストレス

 

加齢

 

 

 

 

 

 

・40歳以上の方に多く見られますが、疲労やストレスで若い方にも発症することがあります。

・特に50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症すると言われています。

・白血病や悪性腫瘍、HIVなどにかかって免疫機能が低下している方も注意が必要です。

50歳以上の方には帯状疱疹を予防するワクチンがあります。

帯状疱疹の合併症

帯状疱疹後神経痛

・帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の炎症によって神経が回復不能な状態になった状態です。

・帯状疱疹の皮疹が消失した後も3~6カ月以上痛みが持続します。

・その痛みは「焼けるような、刺されるような」痛みと表現されることもあります。

50歳以上の患者の約2割、65歳以上の患者の約5割が移行すると言われています。

 

ラムゼイ・ハント症候群

・帯状疱疹は顔面に出現することもあり、このとき顔面神経が障害されると、顔の表情を自由にできないという障害が発生します。

・難聴や耳鳴り、めまい、味覚障害を伴うこともあります。

・このような帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる顔面神経麻痺を主症状とする疾患をラムゼイ・ハント症候群といいます。

 いったん発症してしまうと約半数は完治せず、後遺症は一生続きます。

帯状疱疹の診断と治療

「デルマクイックVZV」

・診断は主に視診と、症状や経過の問診で診断します。

・補助的に水痘帯状疱疹ウイルス検査キット「デルマクイックVZV」を用います。発疹の内容物や潰瘍の浸出液を検体として、判定までにおよそ5~10分程度かかります。

 

・治療は抗ヘルペスウイルス薬を使用します。ウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治るまでの期間を短縮します。さらに合併症や後遺症である帯状疱疹後神経痛を抑えることも期待されます。

抗ヘルペスウイルス薬は発病早期に服用を開始するほど、治療効果が期待できます。

・必要に応じて、消炎鎮痛薬や神経障害性疼痛に対するお薬を使用します。

・帯状疱疹後神経痛の治療については鎮痛薬の他、抗うつ薬などにより、痛みをできるだけ軽くするための治療を行います。

帯状疱疹罹患後の日常生活の注意

・できるだけ安静にしましょう

帯状疱疹は疲労やストレスが原因となり、免疫力が低下したときに発症します。十分な睡眠と栄養をとり、精神的・肉体的な安静を心がけることが回復への近道です。

・患部を冷やさないようにしましょう

患部が冷えると痛みがひどくなります。患部は冷やさずに、できるだけ温めて血行をよくしましょう。だだし、使い捨てカイロや温シップ薬は、やけどやかぶれに注意して使いましょう。

・水ぶくれは破らないようにしましょう

水ぶくれが破れると、細菌による感染が起こりやすくなります。細菌による化膿を防ぐためにも、患部は触らないようにしましょう。 

・小さな子どもとの接触は控えましょう

帯状疱疹が他の人にうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性があります。

帯状疱疹の予防接種の対象年齢は50歳以上です

・帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加します。

・帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高まります

・ワクチン接種により、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高め、帯状疱疹の発症を予防することができます。

・また、帯状疱疹を発症したとしても軽症ですみ、帯状疱疹後神経痛(PHN)などの後遺症の予防にもつながります。

https://taijouhoushin.jp/より


当院での帯状疱疹ワクチンについて~「ビケン」と「シングリックス」の比較

当院では水痘の弱毒生ワクチンである「ビケン」と、不活化ワクチンである「シングリックス」をご用意しています。

それぞれ両者の違いを表にしてお示しします。

製品名

「シングリックス」

(グラクソ・スミスクライン株式会社)

「ビケン」

(阪大微生物病研究会)

種類 不活化ワクチン 生ワクチン
接種回数

2回(2回目は2か月後~6か月以内に接種)

1回
投与方法

筋肉注射

皮下注射
帯状疱疹発症抑制効果 50歳以上:97.2%  51.3%
70歳以上:89.8% 
神経痛抑制効果 50歳以上:100%  66.5%
70歳以上:85.5%
効果の持続期間 9年以上 5年程度で効果減弱
副反応

【注射部位】

痛み(78%)、赤み(38%)、腫れ(26%)

【全身】

筋肉痛(40%)、疲労(39%)、頭痛(33%)、悪寒(24%)、発熱(18%)、胃腸症状(13%)、アナフィラキシーショック(頻度不明)など(副反応の多くは3日以内に治まります)

【注射部位】

赤み(44%)、腫れ(17%)、痛み(15%)

【全身】

発疹(1~5%)、倦怠感(1~5%)、関節・筋肉痛(1%未満)、紅斑・掻痒(1%未満)、無菌性髄膜炎(頻度不明)、血小板減少性紫斑病(頻度不明)、アナフィラキシーショック(頻度不明)など

料金 1回19800円x2回分=合計39600円(税込) 7700円(税込)
特徴

・高い

・2回の接種が必要

・予防効果が非常に高く、持続期間も長い

・副反応が比較的強い

・生ワクチンを接種することができない免疫抑制状態の方でも接種可能

・安い

・接種は1回で済む

・シングリックスと比べて予防効果は劣る

・副反応は比較的弱い

・生ワクチンのため急性白血病、悪性腫瘍、ステロイドや免疫抑制剤等による免疫抑制状態の方は接種不可

予約制でキャンセル不可です(予約日時の変更は可)。

*どちらのワクチンにするか迷われる場合は受診時に医師にご相談いただいてからご予約ください。

*接種当日は年齢を確認するため、保険証をご持参ください。


よくあるご質問

Q:帯状疱疹にかかったことがありますが、それでも帯状疱疹予防のためにワクチンを接種することは可能でしょうか?

A:一般に帯状疱疹は約6.4%に再発が認められます。そのため、帯状疱疹の再発予防目的でワクチンを接種する意義はあります。

Q:水ぼうそう(水痘)にかかったことがないのですが、帯状疱疹ワクチンを打っておくべきですか?

A:一般に15歳以上の日本人の水痘に対する抗体保有率は9割以上であり、自覚症状のないまま罹患して体内に水痘・帯状疱疹ウイルスを持っている方も多いと考えられています。そのため、水痘に罹患した自覚がなくても帯状疱疹を発症する可能性は否定できません。水痘罹患歴がない、あるいは不明な場合でも帯状疱疹ワクチンを接種する意義はあります。

Q:帯状疱疹の生ワクチン「ビケン」を打つうえで、注意すべき免疫抑制状態とは何ですか?

A:帯状疱疹ワクチンの生ワクチン「ビケン」は、従来から日本で開発され、小児の水痘予防に使用されてきた水痘ワクチンを用います。これは、ウイルスを弱毒化して得られる生ワクチンです。そのため、明らかに免疫機能に異常のある疾患を有していたり、免疫抑制をきたす治療を受けている場合は接種したワクチンウイルスのよる感染症状が出現し、増強する可能性があることから避ける必要があります。具体的には下記のような場合です。

・ステロイド(プレドニゾロン等の経口・注射剤)や免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン等)の投薬中。

・接種3か月以内に輸血またはガンマグロブリン製剤の投与を受けた場合。

・急性白血病の強化療法、あるいは広範な放射線治療などの強い治療を受けている場合。

・急性骨髄性白血病、T細胞白血病、悪性リンパ腫に罹患している場合。

・悪性固形腫瘍で、手術や化学療法によっても、病勢がコントロールができていない場合。

また、組成に下記抗菌剤が含まれるため、過去にこれらの薬剤によるアレルギー反応を起こした方も接種できません。

・カナマイシンおよびエリスロマイシン

Q:新型コロナワクチンと帯状疱疹ワクチンは同時に接種できますか?別々に打つ場合の間隔はどれくらいですか?

A:新型コロナワクチンと帯状疱疹ワクチンとの同時接種は、特に医師が必要と認めた場合には可能です。また、他のワクチンとの接種間隔に制限はありません。

👉新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省)

Q:インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンと帯状疱疹ワクチンは同時に接種できますか?別々に打つ場合の間隔はどれくらいですか?

A:インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンと帯状疱疹ワクチンを同時に接種することは可能です。先にインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを打った場合、これらは不活化ワクチンであるため、特に接種間隔に制限はありません。

👉異なる種類のワクチンを接種する際の接種間隔のルール(厚生労働省)

Q:麻疹風疹ワクチンと帯状疱疹ワクチンは同時に接種できますか?別々に打つ場合の間隔はどれくらいですか?

麻疹風疹ワクチンと帯状疱疹ワクチンを同時に接種することは可能です。先に麻疹風疹ワクチンのような生ワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ・BCG・黄熱ワクチンなど)の予防接種を受けた場合、同じ生ワクチンの「ビケン」であれば27日以上空ける必要があります。不活化ワクチンであるシングリックスであれば特に制限はありません。

👉異なる種類のワクチンを接種する際の接種間隔のルール(厚生労働省)

Q:初めに生ワクチンの「ビケン」を希望して接種しました。ですが、その後気が変わり、より効果の高い不活化ワクチンの「シングリックス」を接種したいと思うようになりました。続けて接種してもよいのでしょうか?

A:特に問題はありません。生ワクチン→不活化ワクチンの接種であれば、接種間隔について特に制限はありませんので、翌日以降に続けて接種することは可能です。

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